第1回 圧延(平成26年6月5日開催)
圧延とは、回転するロールの間に素材を通して素材の厚さや断面積を減じ、目的形状に成形する加工を称します。素材はロールからの摩擦力によりロールに引き込まれ、ロールからの圧縮力を受けて変形するため、圧下率やパス数、熱処理等により、加工材の欠陥や組織の制御が可能となります。また圧延により原子のならびを(結晶配向)制御でき、電磁鋼板などの機能性金属材料の製造に利用されています。
右図は当室で行ったクラッド圧延で創製した、軽量性と耐食性に優れた複合鋼板の模式図と組織写真です。
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第2回 鍛造(平成26年7月30日開催)
鍛造は、材料を圧縮で塑性変形し、所望の形状に成形する加工です。特徴は、①切削と比べ素材が節約でき目的形状近くまで成形加工が可能なこと、②鋳造欠陥を圧着できること、③再結晶により機械的性質が向上すること、④大型素材の加工が可能で寸法ばらつきが少ないこと、です。右は難加工材料のTiAl金属間化合物に恒温鍛造を施し微細二相組織化した例ですが、巨大引張伸びを示し、超塑性変形を起こしていることが明かとなりました。
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第3回 溶接・接合(平成26年10月31日開催)
「接合」とは物と物をつなぐ行為で、その代表は「溶接」です。溶接では接合部が溶融され、その特徴は、継手構造が簡単で継手効率が高いこと、材料や工数削減が可能なこと、急激な加熱冷却によりHAZを形成し、靱性低下と硬化が起こることです。右は複合材料をクラッド圧延する際、ワニ口割れ防止を目的に、ロール入口部に溶接を施した例で(a)、圧延の結果、板厚150μm、長さ4mの板材が、割れ無しに加工(b‐c)できました。このクラッド材は表層が耐酸化性に優れた合金で被覆され優れた耐酸化性を示しました(d)。
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第4回 表面改質(平成26年12月2日開催)
第1回 チタン(平成23年11月21日開催)
チタン(Ti)は鉄の6割程度の密度で、鉄より融点が高く、高強度・耐食性を示すことから、軽量耐食構造材料として広く実用化されています。また、眼鏡や食器、装飾品などの生活用品にも利用されています。
Tiは細胞毒性の低い金属で、人体に優しい材料として注目されています。右の写真は細胞毒性の低い金属から構成されるTiNbSn合金のステムですが、冷間鍛造と切削加工で成型が可能です。骨と近いヤング率を持つと共に、高強度と成型加工性を併せ持ち、安全安心なインプラント材料として期待されています。
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第2回 銅(平成24年2月8日開催)
銅(Cu)は有史前から人類が使用してきた金属です。昨今は、高い導電性や熱伝導率を利用し、半導体配線材料や熱伝導材料などにも多用されています。また、様々な金属との合金化により、強度と加工性を付与でき、構造材料だけでなく、貨幣や美術品にも使われてきました。
銅合金は楽器の材料として昔から使用されていますが、その理由は音の減衰が低いこと(振動吸収が小さいこと)と、音の伝達速度が速いことです(右図)。そして、銅合金が、成形性や接合性、耐食性に優れため、トランペットやホルンに使われています。
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第3回 ニッケル(平成24年5月11日開催)
. ニッケル(Ni)は強度と加工性を兼ね備え、強磁性や優れためっき性などの特徴を持ち、ステンレスや貨幣などの合金元素に使用されます。また他の金属との合金化により、形状記憶特性、磁性、耐熱性など様々な性能を示し、身の回りで広く活用されています。
宇宙から届く隕鉄は、液相のFe-(6-20)Ni合金が無重力で 100万年に数~数百Kで冷却された物質で、針状の特徴的な組織(右図)を呈します。地表にはNiは0.007%しか存在しませんが、地球の中心部には隕鉄と同程度のNiが含有すると考えられています。
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第4回 アルミニウム(平成24年7月26日開催)
アルミニウム(Al)は軽くて加工が容易なため、多くの製品に利用されている金属です。その表面は薄い酸化膜で覆われているため、耐食性にも優れます。また熱や電気を伝えやすいことから、エネルギー輸送物質としても多用されます。
欠点である低強度は、Alが他の元素をあまり固溶しないという性質を利用し、析出強化により改善されます。上図の例はAl-4%Cu合金を時効すると、時効時間によって生成する析出物の形態が変わり、それに応じて硬度が増加することを示します。このようにAl合金は析出強化を利用して高強度を得ています。
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第5回 ステンレス(平成24年9月7日開催)
ステンレスはFeにCrを10.5 %以上、Cを1.2%以下含んだ合金を称し、耐食性・耐熱性・加工性・強度などに優れた性能を示します。耐食性の原因は、表層に形成されるCr酸化物を主体とした、1~3nm程度の薄い皮膜が母材を保護するからです。この皮膜は不動態膜と称し、電気を通しにくい性質を持つため、電気化学反応による錆の生成を抑えます。不動態膜の機能を向上させることで、過酷な腐食環境にも耐えるステンレスが開発されています。
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第6回 マグネシウム(平成24年11月7日開催)
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現在48件(2013.3)の共同研究契約を締結しています。
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